確認試験
開発に当たっては、表-1、表-2に示すように杭の鉛直載荷試験、杭先端部の強度試験、掘 り出し試験、杭球根部コアの圧縮強度試験、および施工試験を実施し、その試験結果は表-3~表-7に示すとおりとなり、開発目標を満足することを確認できた。なお、試験結果の解析・考察は道路橋示方書・同解説(平成14年3月)に基づいて行った。
確認項目 | 確認方法 | ||
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試験項目 | 試験体 | 試験方法 | |
1.支持力特性 開発目標の支持力が得られること |
鉛直載荷試験 (A地点~J地点) |
Φ=600、812.8mm t=9、22mm L=24.0~58.5m |
地盤工学会基準による鉛直載荷試験 砂質土 7例 砂礫土 3例 |
2.一体性 杭先端部において鋼管杭と拡大根固め球根が、端板リングとシャキーによって一体となって働いていること |
端板リング 耐荷力試験(1) |
Φ=406.4mm t=12.7mm L=0.5m 試験体3体 |
端板リング耐荷力試験と端板リングの効果に関する試験 |
シャキー せん断試験(1) |
Φ=400mm t=16mm L=1.0、1.3m 試験体5体 |
供試体による内部コンクリートの押抜試験 | |
球根部の 載荷試験(1) |
Φ=400mm t=16mm L=1.0m 試験体2体 |
拡大根固め球根(モルタル)と鋼管を一体とした試験体の載荷試験 | |
3.確実性 確実な拡大根固め球根を築造できること |
掘り出し試験(1) | Φ=600mm t=9mm L=6.0m 試験体1体 |
杭球根部の形状・寸法、品質の調査、測定(人工地盤) |
コアの 圧縮強度試験(1) |
Φ=100mm h=200mm |
人工地盤で築造した杭球根部から採取したコアの圧縮強度試験 | |
コアの 圧縮強度試験(2) |
Φ=100mm h=200mm |
実杭より採取したコアの圧縮強度試験 | |
施工試験(1) | Φ=800mm t=12mm L=53.0m 試験体1体 |
施工性の確認試験 |
※RP:Ring Plate
確認項目 | 確認方法 | ||
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試験項目 | 試験体 | 試験方法 | |
1.支持力特性 開発目標の支持力が得られること。 |
杭先端部の 載荷試験(1) |
Φ=600mm t=16mm L=2.6、1.9m 試験体2体 |
実地盤(砂礫土)で築造した杭先端部の載荷試験 |
鉛直載荷試験 (K地点) |
Φ=1000mm t=22mm L=25.0m |
地盤工学会基準による鉛直載荷試験(砂礫土) |
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2.一体性 杭先端部において鋼管杭と拡大根固め球根がシャキー等によって一体となって働いていること。 |
シャキー せん断試験(2) |
Φ1=609.6mm t1=16mm Φ2=812.8m t2=19mm Φ3=1016m t3=19mm L=1.6~2.4m 試験体33体 |
供試体による内部コンクリートの押抜試験 |
シャキー せん断試験(3) |
Φ=600mm t=16mm L=1.6m 試験体2体 |
実地盤(砂礫土)で築造した杭先端部の押抜試験 | |
3.確実性
確実な拡大根固め球根を築造できること。 |
掘り出し試験(2) | Φ=600mm t=16mm L=8.0m 試験体2体 |
杭球根部の形状・寸法、品質の調査、測定(砂礫土:地表面下約8.0m) |
掘り出し試験(3) | Φ=1000mm t=12mm L=5.0m 試験体2体 |
杭球根部の形状・寸法、品質の調査、測定(砂質土:地表面下約5.0m) |
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コアの 圧縮強度試験(3) |
Φ=100mm h=200mm |
実地盤(砂礫土)で築造した杭球根部から採取したコアの圧縮強度試験 | |
コアの 圧縮強度試験(4) |
Φ=100mm h=200mm |
実地盤(砂質土)で築造した杭球根部から採取したコアの圧縮強度試験 | |
施工試験(2) | Φ=1000mm t=12mm L=5.0m 試験体3体 |
拡大ビット開閉機能の確認および施工性の確認の試験 | |
施工試験(3) | Φ=1000mm t=22mm L=25.0m 試験体1体 |
拡大ビット開閉機能の確認および施工性の確認の試験 |
※RB:Reinforcing Band
試験場所 | 試験時期 | 杭諸元 | 地盤概要 | 試験内容 | 確認項目 | 試験結果の概要 | ||||||||||
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上:施工日 下:試験日 養生期間 |
杭径Φ 杭長L 板厚t |
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A地点 | H4.2.6 H4.3.4 28日 |
Φ=812.8㎜ L =55.0m t =22㎜ Ls =39.0m |
中間層:粘性土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
鉛直載 荷試験 |
支持力 特性 |
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B地点 |
H4.4.8 H4.5.19 41日 |
Φ=812.8㎜ L =53.0m t =22㎜ Ls =42.6m |
中間層:砂質土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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C地点 | H4.7.31 H4.9.19 49日 |
Φ=812.8㎜ L =51.0m t =22㎜ Ls =39.0m |
中間層:砂質土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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D地点 | H4.8.18 H4.10.2 44日 |
Φ=812.8㎜ L =44.0m t =22㎜ Ls =33.8m |
中間層:砂質土 先端地盤:砂礫土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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E地点 | H4.9.10 H4.10.9 29日 |
Φ=812.8㎜ L =58.5m t =22㎜ Ls =45.5m |
中間層:粘性土 先端地盤:砂礫土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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F地点 | H5.3.27 H5.5.13 46日 |
Φ=812.8㎜ L =52.0m t =22㎜ Ls =40.8m |
中間層:粘性土 先端地盤:砂礫土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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G地点 | H6.2.10 H6.3.24 44日 |
Φ=800㎜ L =25.5m t =16-9㎜ |
中間層:粘性土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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H地点 | H6.3.12 H6.4.18 36日 |
Φ=800㎜ L =24.0m t =12-9㎜ |
中間層:粘性土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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I地点 | H7.2.25 H7.3.11 16日 |
Φ=600㎜ L =25.0m t = 9㎜ |
中間層:砂質土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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J地点 | H8.7.3 H8.8.1 28日 |
Φ=800㎜ L =34.5m t =14㎜ |
中間層:砂質土 先端地盤:砂質土 先端N値:50 |
同上 | 同上 |
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試験場所 | 試験時期 | 杭諸元 | 地盤概要 | 試験内容 | 確認項目 | 試験結果の概要 | ||||||||||
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上:施工日 下:試験日 養生期間 |
杭径Φ 杭長L 板厚t |
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K地点 | H14.2.23 H14.4. 4 40日 |
Φ=1000㎜ L =25.0m t =22㎜ |
中間層:砂質土 先端地盤:砂礫土 先端N値:50 |
鉛直載荷 試験 |
支持力 特性 |
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試験場所 | 試験時期 | 杭諸元 | 地盤概要 | 試験内容 | 確認項目 | 試験結果の概要 |
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上:施工日 下:試験日 養生期間 |
杭径Φ 杭長L 板厚t |
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L地点 | H12.9.15 H12.12.19 95日 |
Φ=600㎜ L = 8.0m t =16㎜ (試験体2体) |
中間層:砂質土 先端地盤: 砂礫土 先端N値:50 |
杭先端部の 載荷試験 現場:杭球 根築造 試験室:先 端部載荷 試験 |
支持力 特性 |
載荷重は試験体No.1で2,865kN、試験体No.2で2,985kNまで載荷したが、破壊荷重に達しなかった。載荷重は事後のシャキーせん断試験(押抜試験)を考慮して中断したが、いずれも中掘り杭の極限支持力200NAp=2,830kN(砂礫土N=50)を上回った。なお、杭球根の周辺を拘束していないため実際の地中での耐荷力はさらに大きくなると思われる。 |
試験名 | 試験体 | 確認項目 | 試験結果の概要 | ||||||||
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端板リング 耐荷力試験(1) |
Φ=406.4㎜ L=0.5m t=12.7㎜ (試験体3体) |
一体性 | 端板リングの耐荷力(破壊荷重)は1,984~2,646kNでN値50の極限先端支持力1,300kNを上回った。 | ||||||||
シャキー せん断試験(1) |
Φ=400㎜ L=1.0m、1.3m t=16㎜ (試験体5体) シャキー( 9× 9㎜, 12×12㎜) シャキー段数(0,1,2,3段) |
同上 | 最大荷重2,000kNで載荷試験を行った。 モルタル充填長さ600㎜で1,800kN(2.6N/㎜2)以上、同950㎜で2,000kN(1.82N/㎜2)以上のせん断抵抗力が得られ、極限先端支持力(N=50)1,260kNを上回った。 なお、充填モルタル強度は23.4~24.6N/㎜2 。 |
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杭球根部の 載荷試験(1) |
Φ=400㎜ L=1.0m t=16㎜ (試験体2体) 端板リング (Φ418-300 t16㎜) シャキー(12×12㎜) シャキー段数(2段) |
同上 |
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掘り出し試験(1) | Φ=600㎜ L=6.0m t=9㎜ (試験体1体) 端板リング (Φ618-475 t22㎜) シャキー(12×12㎜) シャキー段数(2段) |
確実性 |
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コアの 圧縮強度試験(1) |
Φ=100㎜ h=200㎜ |
同上 |
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コアの 圧縮強度試験(2) |
Φ=100㎜ h=200㎜ | 同上 |
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試験名 | 試験体 | 確認項目 | 試験結果の概要 | ||||||||
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シャキー せん断試験(2) |
Φ=609.6㎜ L=1.6m t=16㎜ (試験体12体) Φ=812.8㎜ L=2.0m t=19㎜ (試験体12体) Φ=1016㎜ L=2.4m t=19㎜ (試験体9体) シャキー( 9×9㎜、 12×12㎜) シャキー段数(0,1,2,3段) |
一体性 | 載荷試験の結果、Φ609.6、Φ812.8の鋼管ではシャキーが1段の時、Φ1016の鋼管では2段の時の降伏荷重が極限先端支持力(200NAp、N=50)を上回り、標準構造では、極限先端支持力以上のシャキーせん断力のあることがわかった。なお、充填モルタル強度は25.0~30.2N/㎜2(室内打設)。 | ||||||||
シャキー せん断試験(3) |
Φ=600㎜ L=1.6m t=16㎜ (試験体2体) シャキー(12×12㎜) シャキー段数(2段) |
同上 | 載荷は耐荷板の変位が30㎜(杭径の5%)付近で中止したが、そのときの荷重が最大で、試験体No.1は8,312kN、試験体No.2で6,521kNであった。これは中掘り杭の極限先端支持力(砂礫土N=50)200NAp=2,830kNの2~3倍であった。 なお、セメントミルク強度は18.7~21.0N/㎜2。 | ||||||||
掘り出し試験(2) | Φ=600㎜ L=8.0m t=16㎜ (試験体2体) シャキー(12×12㎜) シャキー段数(2段) 先端補強バンド (t9×200㎜) |
確実性 |
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掘り出し試験(3) | Φ=1000㎜ L=5.0m t=12㎜ (試験体2体) シャキー(12×12㎜) シャキー段数(3段) 先端補強バンド (t9×300㎜) |
同上 |
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コアの圧縮強度試験(3) | Φ=100㎜ h=200㎜ |
同上 | 実地盤(砂礫土)で築造した杭球根を掘り出してコアを採取し、圧縮強度試験を行った。圧縮強度は平均で、試験体No.1が20.4 N/㎜2、No.2が21.2N/㎜2で標準の20.0N/㎜2を上回った。なお、この平均値には、杭球根部の載荷試験後やシャキーせん断試験(押抜試験)後に採取したコアも含まれているので、実際の圧縮強度はこの値以上になると思われる。 | ||||||||
コアの圧縮強度試験(4) | Φ=100㎜ h=200㎜ |
同上 | 実地盤(砂質土)で築造した杭球根を掘り出してコアを採取し、圧縮強度試験を行った。圧縮強度は平均で、試験体No.1が31.6 N/㎜2、試験体No.2が26.8N/㎜2で標準の20.0N/㎜2を上回った。 |